一般診療
GENERAL PRACTICE
外来の検査機器
視野測定装置
超広角眼底撮影カメラ
■ドライアイ
涙の分泌が減ったりあるいは涙の質が低下して水分の蒸発が亢進し目の潤いが失われ目の表面が乾燥している状態。異物感、ころころした感じ、まぶしさ、目の疲れといった不快な自覚症状があり、ひどくなると目の表面に傷がつき、痛みを生じるようになります。
乾燥とは一見逆の症状である流涙感がでることもあります。原因として加齢に伴う症状として、またパソコンやモニターをじっと見つめる作業を長時間することや、乾燥した環境に目をさらした場合、コンタクトレンズの装用でも起こります。結膜弛緩症といって白目が老化によってたるみをきたし黒目の一部にかぶさった状態になると涙の流れが乱れてドライアイを生じることもあります。また、一部の点眼薬のなかには涙の安定を損なうものがありドライアイ発症のきっかけになることがあります。口内乾燥など目以外の症状を合併しているシェーグレン症候群、その他の膠原病の一症状として起こることもあります。
治療はまず涙の分泌や涙の質が正常の状態かどうか検査して決定することになります。基本的には大部分の患者さんは点眼剤で治療できます。高齢化やコンピューター社会を背景にして最近急速に増えている疾患なので症状が思い当たるかたは、受診されることをお勧めいたします。
■ものもらい麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
いわゆる「ものもらい」といわれる麦粒腫は主に黄色ブドウ球菌による感染でおこり、まぶたが腫れて痛む病気です。その名前から伝染すると思われていますが、他人に感染することはありません。炎症が強くなると赤み、腫れ、痛みが増してきます。抗生剤も点眼や内服で治療しますが、化膿が進んだ場合は切開して膿を出します。
また、麦粒腫に似た症状でまぶたの腫れにしこりを伴う霰粒腫という別の病気があります。霰粒腫は感染を伴わないかぎり痛みはまったくありませんが、高齢者の慢性化した「ものもらい」は時に悪性腫瘍のこともあるので早めの受診をおすすめします。
■ぶどう膜炎
『ぶどう膜』とは虹彩(瞳孔の周囲の茶目)と虹彩に連続する毛様体、脈銘膜の総称のことです。このぶどう膜の炎症性疾患をぶどう膜炎とよびます。ぶどう膜炎の症状は充血、目のかすみ、視力低下や眼痛など様々で炎症症状が長引くと緑内障、白内障、網膜剥離などを合併します。外傷、感染症、自己免疫疾患、その他の全身性疾患に伴う場合など原因は様々ですが、原因不明のものも多いのが実情です。治療は抗炎症療法と合併症予防を中心とした内科的治療が基本となりますが、合併症による視力障害を改善するために手術が必要になることもあります。
自覚症状があれば早めに専門医を受診し、合併症がおこる前に早期に治療を始める事が大切です。
■糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)
糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症のひとつで、緑内障と並ぶ最大の失明原因疾患です。網膜はカメラでいうとフィルムの役割をはたしていて、ものを見るために重要な眼底のごくうすい神経の膜です。糖尿病のコントロールが悪い状態が続くと網膜の血管が傷み網膜に出血やむくみが起こってきます。網膜症の始まりです。さらには容易に出血する新生血管を生じ、出血を繰り返しながら増殖組織が形成されると、網膜剥離となります。
糖尿病網膜症は早期に見つかれば経過をみながらレーザーによる網膜光凝固術などで病状を安定化させることが可能です。病状がかなり進行するまで自覚症状がない場合も多いので、糖尿病の方は目の症状がなくても定期的に眼科を受診し眼底検査を受けることが必要です。
■翼状片(よくじょうへん)
翼状片とは、球結膜(白目)が角膜(黒目)の上に三角状に入り込んでくる病気です。初期の自覚症状としては充血や異物感などがあります。原因は詳しくは分かっていませんが、高齢者に多く、病気の発生には紫外線が関係しているといわれています。翼状片自体は悪性の組織ではなく失明に至る病気ではありませんが、充血や異物感が強い場合は点眼などの治療を行います。根本的治療は手術で摘出するしかありません。とくに翼状片が瞳の近くまで伸びてくると整容的にも見栄えが悪く、角膜乱視が発生して視力が低下するため、ぜひ手術が必要になります。
ただし、手術を行っても再発することがあり、とくに年齢が若いひとはこの傾向が顕著です。手術時期の決定が難しいため、まずは眼科受診をおすすめします。
■加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせい)
加齢黄斑変性は加齢により眼底網膜の中心にある『黄斑』に異常をきたす病気で、網膜に異常な血管が新生してくる滲出型と、そうでない萎縮型があり、一般には前者の滲出型が多くみられ、このタイプは重篤な視力低下を起こし、失明の原因になることもあります。初期には物がゆがんで見えたり、視界の真ん中が暗く見えるなどの症状を自覚します。病状が進み出血やむくみを起こすと視力障害はさらに悪化します。
検査機器の進歩により、早期診断が可能になっており、診断が確定すれば、レーザーによる治療や手術のほか、最近は新しい薬物治療も確立されてきておりますので症状に心当たりのある中高年の方は最寄の病院を受診してください。
■飛蚊症(ひぶんしょう)
視界に黒い点や糸くずのような影がちらつき、あたかも『虫(蚊)が飛んでいるように見える』ことから、その名前の由来になっています。眼球の中には硝子体というゼリー状の組織があり、本来透明ですが、加齢もしくはさまざまな疾患により濁りを生じ、飛蚊症を自覚します。加齢により硝子体が網膜からはずれる過程で硝子体にひっぱられた網膜が裂けて『網膜裂孔』を生じ、飛蚊症があらわれることがあり、この場合網膜が眼底から剥がれる『網膜剥離』に発展すると失明のおそれがあります。
飛蚊症の多くは加齢による生理的な現象であるため、むやみに恐れる必要はありませんが、網膜裂孔、眼底出血、眼内の炎症など病気の一症状のこともありますので、とくに中高年の方で突然、飛蚊症が現れた場合はなるべくはやく専門医を受診するように心がけましょう。
■角膜感染症(かくまくかんせんしょう)
黒目と呼ばれている角膜に病原体をもつ微生物、つまり細菌、真菌、原虫、ウイルスなどが感染し、炎症を起こした状態を角膜感染症といいます。ゴミなど異物の飛入、植物の枯葉による突き目などの外傷、コンタクトレンズ誤用による角膜のキズ、ドライアイ、ステロイド剤の長期点眼などがきっかけで起こります。重症例では角膜潰瘍から角膜穿孔を起こし失明に至ることもあり、治癒しても角膜に強い濁りが残り、角膜移植が必要になることもあります。
最近はコンタクトレンズ装用者のあいだでアカントアメーバによる角膜感染症が増えてきており難治性なので問題になっていいます。コンタクトレンズの十分な洗浄、装用時間や使用期限の厳守、定期検査の励行を心がけて日頃から角膜感染症を予防することが大切です。